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嗤う伊右衛門

嗤う伊右衛門 [DVD]嗤う伊右衛門 [DVD]
(2004/07/23)
唐沢寿明小雪

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†††蜷川幸雄監督作品
伊右衛門:唐沢寿明
岩:小雪
又市:香川照之
伊藤喜兵衛:椎名桔平
†††2003年 日本
********    ********


蜷川幸雄監督作品ですよ、アナタ。
 小説にしろ映画にしろ恋愛ものはまず読まない見ない人
ですが、このテのはOKでね、要は半径5m以内な感じには興
味ないんですよね、そんなんわざわざ映画や小説で見たり読
んだりしなくてもねえ(笑)
「不思議な事は世の中に何も無いのだよ。」と言う京極先
生は、いつものその台詞通り、ドロドロの怪奇譚を清冽な
恋愛物語として完結させてしまいました。

 しかし、ずっと思ってるのですが、女性の名前として「
岩」ってのはどうなんでしょうか、今とは違うのかも知れ
ないけど、わざわざ「岩」ってつけるかなあ?と…何ぞ謂
れがあるんでしょうかね??


それはいいとして。
今知られている「四谷怪談」と言うのは、極悪非道な伊右衛
門に、余りに卑屈な程「耐えまくる女」のお岩さんと言う、
どこに同情したら良いのかわからないくらい、化けて出る前
にもう既に化け物的なキャラクターの人たちな訳ですが

 この物語のお岩さんは、強くて清い孤高の人でした。

お互いが強く魅かれ合いながらも、あまりの不器用さにスレ
違い、それでも尚絡み合う皮肉な運命。


 「うらめしや、伊右衛門様」

とは愛と同義語でした。

 大体、原作のしっかりある映画って、原作の方が面白か
ったりするんですが、これは映画も良かったなあ、まあ幽
霊モノとしての怖さってのは既に無いですけどね、原作が
そうだし、だけど生きている人間のドラマとして十分面白
いと思う。
 岩と伊右衛門の夫婦が泣けますよ、特に最後の伊右衛門
のせりふ、どこまでも根性悪い与力の伊藤喜兵衛に向かっ

 「お前ごときに岩はやらん、梅と逝け」

ですよ、無口な伊右衛門のこの一言は凄みがありましたねえ。
となるとまあ、一番気の毒なのはこの梅さんで、伊藤に手
込めにされ、妊娠してるのに岩がいなくなった後、後添い
として、伊右衛門の所へ嫁がされ、伊右衛門に惚れるも子
供は憎む伊藤の子である事に苦しみ、とうとう我が子を手
にかける羽目に…こんな調子で全く浮かばれません。
 その子供が死んでるシーンですね、まだ赤ん坊なんです
が、本当に無造作に土にまみれてその辺の道ばたに放り投
げられてて、たった一人で…子供の顔も映らないんですが
あの無常感てのはさり気ないのに凄い演出ですよ。
 脇役もそれぞれなかなか味があって良いんです、面白い
映画って脇役もちゃんとキャラが立ってるんですねえ、そ
れぞれにちゃんとドラマがあって。
 ただ、顔も知らない状態から夫婦になって、ぶつかり合
いながらもそこまで深く愛し合う様になる過程がちょっと
ばかり希薄、その辺がもっと濃厚に描かれてたらもっと壮
絶なラストになったと思う。
 で、かなりスプラッターなシーンを見ても全然平気な私
ですが、直助ってのがですね、自分で自分の顔の皮を剥ぐ
シーンがあって、あれは「げげっ!」と来ましたね、「ハ
ンニバル」の顔の皮剥ぐシーンよりも全然怖かった、私が
今まで「ギャー」と思ったのは、これで3つ目ですが、1
つはスペインの大変態爺ブニュエルの「アンダルシアの犬」
の眼球切断のシーン、2つ目はパトリス・シェローの「王妃
マルゴ」で、剣で戦うシーンですが、振り下ろした剣がガッ
とかって頭がい骨で止まるんですよ、そのリアルな感触に
「ゲゲッ」、3つ目はこれですね。
 中国の言葉に「木鶏」ってのがありますが、この伊右衛
門は限りなく木鶏に近い、もしかして一番化け物はこいつ
かもと思ったり。

 しかし、民間伝承にお詳しい京極先生ですから、この怪談
をこんな風に描いたのは、もしかしたら、歌舞伎などのエ
ンターテイメントで、どんどん血みどろな怪談に仕上げられ
た物語が、本来四谷に残る実話の方は実際のところそういう
話では無かったと言う事なのかも?

 役者さんたちは皆さん素晴らしい、唐沢寿明や小雪はもち
ろんですが、椎名桔平が、伊藤喜兵衛にしては線の細いイケ
メン過ぎだろーと思ったんですけど、案外良かったです。
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