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†††ジャウマ・パラゲロ監督作品 エイミー:キャリスタ・フロックハート ロバート:リチャード・ロクスバーグ ヘレン:エレナ・アナヤ フォルダー:ジェマ・ジョーンズ マギー:ヤスミン・マーフィー ロイ:コリン・マクファーレン †††2005年 スペイン ******** ******** 「REC」で話題になったジャウマ・パラゲロ監督作品。 この人の映画は、スペインにしては比較的ハリウッドナイズ された作品なのですが、「REC」はお馴染みのネタに始まっ て斜め上に着地した作品でした、これはまた、ちょっと違う と言うか、この監督のルーツはやっぱりこっちだったかと言 う感じです。 ![]() ハリウッドホラーに慣れていると、スパニッシュホラーはな かなか新鮮です。ヨーロッパ的な美しい映像、宗教的であり 現代的でグローバルな感覚を取り入れながらも、そのセンス はホラージャパネスクに非常に近い。 ヨーロッパでもまた特異な存在ではないでしょうか。 舞台はイギリスのワイト島、長い歴史を持つ、マーシー・フ ォールズ小児病院に、夜間の臨時看護婦としてやって来たエ イミー。 スーザンと言う一人の看護婦が突然辞めてしまったので、そ の代わりとして雇われます。 この小児病院は老朽化のため閉鎖、施設や入院患者の移送が 決められていましたが、大規模な鉄道事故のため中断を余儀 なくされています。 ![]() スパニッシュホラーの面白さの一つは、ミステリーホラーの 要素が強い事でしょう、謎解きの面白さ、それに引き込まれ ます。 もちろん、この病院にも謎があります。 子供たちの間で噂になっていたのは「シャーロット」と言う 名の「機械の少女」。 この病院の2階部分は何らかの理由で閉鎖されている。閉鎖 されているのに何かがいる。 物音がする。 気配がある。 そして、怪異が起こる。 誰も触れていない、寝ているだけの少年の骨が折れる。 何とレントゲン撮影中にも折れる。 2階を中心とするエレベーターの誤作動。 人型に盛り上がる誰もいないベッドのシーツ。 隠された秘密をエイミーに話してくれたのは嚢胞性線維症で 入院している「気難しい」少女マギー。 ![]() 明かされて行く病院の謎、「シャーロット」の謎。 大きなどんでん返しと共にすざまじいクライマックスが訪れる。 ![]() ![]() スプラッター表現も無く、じわじわとゴシックホラー的な静 かな展開で引き込み、謎が明かされた後のフルスロットルな クライマックス、そして哀しく美しいラスト。 その独特なカタルシスで観る者を捉える、見事な展開です。 ハリウッドホラーに退屈と物足りなさを感じている人には是非 スパニッシュホラー、オススメです。 |
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†††ギレルモ・デル・トロ監督作品 カルロス:フェルナンド・ティエルブ ハチント:エドゥアルド・ノリエガ カルメン:マリサ・パレデス カザレス:フェデリコ・ルッピ †††2001年 スペイン、メキシコ ******** ******** 「パンス・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロの過去作品。 「パンズ〜」を見て、こっちを見た、と言う人が多そう。私 もその一人。実は、製作にペドロ・アルモドバルが加わって います。 元々、デル・トロ(と言うとベニチオと間違いそうだけど) はメキシコ人で、アルモドバルがスペインに呼んだんだそう。 如何にもスペインらしい映画を撮ってるので、すっかりスペ イン人なのかと思ってました。 おまけに一般に出てたのが英語のタイトルだったから、ハリ ウッドホラーかと思ってたんですよね、調べたらちゃんとス ペイン語の原題がありました。 「悪魔の背骨」と言う、如何にもホラーちっくなタイトルで すが、バリバリのホラーを期待すると多分「?」が付くと思 います。これはゴシックホラー風味の人間ドラマと言った方 がしっくり来る感じ。 このタイトルの「デビルズ・バックボーン」と言うのは、二 分脊椎症と言う実際にある脊椎骨の形成不全の病気で、背骨 が露出した重症のものが以前その様な名前で呼ばれていたん だそうです。 この映画の登場人物であるカザレス医師が、その重症胎児 をラム酒漬けにしたものを所持しているんですよね。 ![]() 物語の舞台は、内戦も終わりに近づいた頃のスペイン、両 親を亡くし、荒野にポツンと建っているサンタ・ルチア孤児 院にやって来た少年カルロス、彼に与えられたベッドに他の 少年たちは「サンティのベッドだ……」と囁き合います。 ![]() しかし、やはりそこはデル・トロ監督のセンスと言います か、「乾いて明るい」のに不気味で、そして暗い。 元共和党の闘士だった義足の女性院長。 中庭に放置されたままの巨大な不発弾 如何にもいわくのありげな地下の貯水槽 何かを隠している若く男前の管理人 二分脊椎症の胎児を漬込んだラム酒の瓶 ![]() これで何も起こらないわけが無いと言うくらい十二分なお膳 立てです、ゴシックホラーとしては申し分無い。 不思議なのは、「乾いて、明るい」のに、そこに沈殿してい る感覚的なもの、が非常に日本の、ホラージャパネスクに近 いと言う事です。近いのに全く違う、全く違うのに物凄く近 い、そこがもしかしたらスペインと日本の接点かも知れませ ん。 からかわれつつも、少年たちに仲間として受け入れられて 行くカルロスですが、度々サンティの幽霊が現れる、足跡、 そして、囁き…… 「沢山、死ぬ」 ![]() そして、サンティの謎、男前のハシントの謎と本性、共和 党の、義足の女闘士の謎が次々に明らかになって行くのです が、それは内戦の大きな影であり、何より大きなインパクト を残す、カザレス医師のその死に様。 あらゆる愛から遠ざけられた欲にかられた魂の辿り着く所 その愛無き魂の犠牲者が彼らに復習する、それぞれの結末。 残された少年たちは荒野に旅立つ。 ガルシア・マルケス原作の「エレンディラ」の最後、解き放 たれた彼女は砂漠に向かって走る。 少女も、少年も、彼らの向かう先は不毛の土地なのか。 そして、彼らは本物の戦士になるのか。 ただのホラーとして見るのには勿体ない、ドラマとして実に 秀逸な1本です。 |
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†††ジャウム・コレット=セラ監督作品 エスター:イザベル・ファーマン ケイト・コールマン:ベラ・ファーミガ ジョン・コールマン:ピーター・サースガード マックス・コールマン・パロンディ:アリアーナ・エンジニア ダニエル・コールマン:カティナ・パクシヌー シスター・アビゲイル:CCF・パウンダー †††2009年 アメリカ ******** ******** mixiのホラー映画コミュで複数の人が「面白い」と言ってたので 借りて観ました。 確かに面白かった! サイコサスペンスホラーとでも呼んだら良い感じでしょうか。 ![]() 3人目の子供を死産してしまったコールマン夫妻が、その悲しみ を乗り越えるために孤児院から新しい子供を迎え入れる事から話 は始まります。 要は、この子供がとんでもないヤツだったと言う、設定として はそう目新しいものでは無いですが、一見天使の様に可愛らしい エスターの顔も見ていると段々能面の様に見えて来て不気味です。 特にケイトがエスターの正体を暴いて行く過程は非常に面白い 時間的には2時間03分と多少長めですが、それも苦にならない展 開です。 ![]() 子役の2人も良い。主役エスターを演ずるイザベル・ファーマ ンと、その妹となるコールマン夫妻の実子のマックス(女の子) を演ずるアリアーナ・エンジニアが物凄く良いですね。 アリアーナちゃんは映画の中で聴覚障害のあるマックスを演じ ています、実際にも聴覚障害があり、手話と読唇術が出来るそう なので、その点を活かしての配役かも知れませんが、ほぼ台詞の 無いこの役を正に「語る眼差し」で良く演じています。 顔も可愛いんですよね。 ![]() ケイトの四面楚歌っぷりも気の毒なら、旦那のジョンの余りの 鈍さにも多分観たあなたはイライラする事でしょう、私もイライ ラしたよ(笑)このエスターがまたムカつくイヤミを言うし、物 凄い嫌なところを突いて来るんですよ、こいつw まあ、そうやって一人が陥れられて行くから話が面白いんですが 思わず「あんた、この得体の知れない子供と自分の奥さんとどっ ち信用すんのよ!」と言いたくなります、でも大概の場合、大人 と子供だったら子供贔屓しちゃいますよね、しかし、それをもエ スターは計算ずくだった。 もしかしたら、エスターを最初に気に入ったのはジョンだったの で、自分が気に入った子供が悪い訳が無いと、どこかで信じたく なかったのかも知れません。 しかし、この映画の冒頭で既に狡猾なエスターの罠にはまって いた訳です。 まあ、女に騙されてる男なんてそんなもんかもね。 ![]() エスターはどこから来たのか? いつも首と手首にリボンを巻いているのは何故なのか? ジョンにはどこまでも良い子で、ケイトに対してはその本性を むき出しにして行くのは何故なのか? 結局のところ、だんなは全く役に立たず、何かやりそうだった 悪ガキのダニエルもやられっぱなし、男は全くダメな映画なので した。 ![]() 「サスペンス」から「サイコ」へ、そして最後には多少スラッシ ャー的な要素も加わって来ます。 とにかく、イザベルちゃん演ずるエスターが怖くないと面白く 無いので、やはりこの子は凄い。 |
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†††ルキノ・ヴィスコンティ監督作品 ロッコ・パロンディ:アラン・ドロン シモーネ・パロンディ:レナート・サルヴァトーリ ナディア:アニー・ジラルド チーロ・パロンディ:マックス・カルティエ ロザリア・パロンディ:カティナ・パクシヌー ルカ・パロンディ:ロッコ・ヴィドラッツィ †††1960年 イタリア ******** ******** NHKでチネチッタを紹介する番組の最後に「LA STRADA」 のテーマが流れて、一昨年から去年にかけてはこの曲を散 々聴いたなあと思っていたら、ヴィスコンティの映画が始 まった。 一見誤解されそうなんですが、この映画等観るとヴィス コンティが如何にリアリズムの作家であるかと言うのが良 くわかります。 「ヴェニスに死す」や「ルードヴィヒ」等の余りに豪華 絢爛で耽美ちっくな映像が有名過ぎますが、豪華絢爛も耽 美もヴィスコンティはリアリズムで描く。 てミラノ(都会)へ移り住んだ長男ヴィンツェを頼りに イタリア南部から引っ越して来た未亡人のロザリアと4人の 息子たちを描いた傑作。 アラン・ドロンはヴィスコンティのお気に入りの俳優の 一人ですが、若くてしかも聖人の様なロッコ役を演ずるド ロンは素晴らしく美しい。 決して悪者にならないロッコは聖人であり残酷でもあり、 それが、若きアラン・ドロンの冷たい美貌に良く似合って います。 ![]() 家族のために犠牲になり、兄シモーネに金をせびられ様 と、彼のお陰で仕事をクビになろうと、恋人を強姦されて も尚かつ、兄を許し、恋人を兄に譲るロッコ。 その殉教者のごとき心が、兄、そして恋人ナディアの運 命をも狂わせて行きます。 ![]() 堅実を絵に描いた様なマスオさん的な長男のヴィンチェ、 弱く不良で破滅型の次男シモーネ、純粋で聖人の様な三男 のロッコ、現実的な四男のチーロ、まだ子供の五男ルカ、 それぞれの性格、生き方等、彼らをあらゆる面から描いた 傑作です。 どこまでも現実的な判断を下すチーロと、その兄たちを見 つめるルカの目。 そして、やはりヴィスコンティのお気に入りの女優であ ったクラウディア・カルディナーレがちょい役で出てるの も必見、可愛いですよ! |
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†††篠田正浩監督作品 山賊:若山富三郎 女:岩下志麻 下働きの女:伊佐山ひろ子 †††1975年 日本 ******** ******** 原作が非常に好きです。 安吾がどんな意図を持ってこの小説を書いたかは 実はわかりかねます、パゾリーニの「テオレマ」の 様に、非常に寓異的と言うか解釈は難しいのです。 それにも関わらず人気があると言うのは恐らくそ こに描かれた視覚的な美しさ、何か本質的に日本人 に訴えかけて来るものがある様にも思います。 桜と言うものに対する日本人の思い入れは並大抵 ではなく、桜を見ると本能的に何かを受けてしまう それは個人や時代によって違うかも知れませんが、 変わらず続いているものです。 桜が咲くと日本中が狂う。 映画としてはどうだろうと思った時に、実は映画 よりも舞台に向いているのかも知れないとも思うの ですが、岩下志麻と言う女優さんはこの映画にとて も似合っていたと思います。 この人は、割と表情の無い女優さんですが、その 能面の様な美貌はこの映画に相応しい。 例えば「どういう女か?」と聞かれた時に「綺麗な 女だ」としか答え様が無い、「可愛い女」だとか 「強い女」だとか「気だてが良い」とか「よく気が 利く」だとか「賢い女」だとか、そういう世俗的な 形容詞が何も見つからないのです。 そして屈強なはずの山賊が、この非力な女に操ら れるが如く言いなりになってしまう。 まるで、この世ならざる者を妻にした様です。 あるいは「非生産者」としての女そのものかも知 れません。男にとってはどこまでも「得体の知れな い者」であった事でしょう。男はこの女に対してど こかに恐怖心を持っていた様にも思います。 そして、意外に(?)印象に残ったのが音楽。 音楽担当したのは武満徹、この人の音楽は現代音楽 の中でも聴き辛い方に入る(私にとっては)ので音 楽単体で聴いた時になかなか良いと思えないのです が、良いと思った事が全く無いかと言えば実はこれ で2回目です。 一度は、武満が亡くなった時に、宮島で追悼イベ ントがありました。宮島の回廊を勅使河原流の花で 埋め尽くし、海上に張出した能舞台で能の舞を見な がらの武満はその幽玄な世界に溶け込んで恐ろしい 程美しくありました。 2回目はこの映画。嵐の様に舞い散る桜の花びら と若き岩下志麻の美貌に武満の音楽はその威力を発 揮。 映画自体は、内容が内容だけにより映像美を追求 して、もうちょっと観る側から距離感があっても良 かったかなと言う気もします。ストイックで氷のよ うに研ぎすまされたタルコフスキーのような監督が 日本にいたら撮ってもらいたいかも。 |
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